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活動学生による授業アンケート

Good Practice 2016年度春学期

立場の心理学:マジョリティの特権を考える

出口 真紀子(外国語学部英語学科 准教授)

受賞のコメント

この度Good Practice賞を受賞しましたこと、大変光栄です。課題を毎週出した上に最終レポートも課すなど学生への要求度が高かったにも関わらず、真摯な姿勢で授業に参加してくださった学生のみなさんに心より感謝致します。上智大学の学生は卒業後、要職に就き、地域や社会のリーダーとなる人が多く影響力がある一方で、社会への責任もあります。「他者のために、他者とともに」社会の役に立つ人になるためには、まず自分に与えられた、とても見えにくく、なかなか一人では気づくことのできない特権(ある社会集団に属することで労なくして得る優位性)を自覚し行動することで、初めて弱者の他者と健全な関係を築き、より公正な社会が実現できると思っています。そのような意味で、この授業は将来のリーダー予備軍へのリーダーシップトレーニングだとも思っています。

「毎回特権を突きつけられて正直きつかった」という学生の声もありましたが、最後まで逃げ出さずに(逃げることができるのも特権があるからこそ)がんばったと思います。私自身も学生に鍛えられて成長し続けています。最後に上智生のためにマイノリティの立場からライフストーリーを共有してくださったゲストスピーカーのみなさまに心からお礼申し上げます。

学生のコメント

  • 人権問題に対して新しいアプローチの視点を見出せました。それによって、女性の人権について研究している私の視野が広がりました。
  • 大学の講師だけではなく、ゲストスピーカーを招いて話を聞くことができてよかった。
  • 毎回の授業で、リアぺと課題が出されたため講義内容を理解することができ、次の段階へ進みやすかった。
  • 毎回フィードバックをしてくれる点や一回一回の授業でテーマが明確になっている点などとても良かった思います。

講義概要

授業の内容としては、特権的集団の特徴(文化的・制度的支配、正常性(Normalcy)、優越性、特権)や、個人レベルでの特徴:(1)特権があるという認識の欠如、(2)社会的抑圧の現実を否定・回避、(3)優越感と権利意識、(4)自分に特権があるという認識に抵抗を示す、などを学び、心理学の理論を通して、特権集団の心理的特徴やアイデンティティの社会化のプロセスを学びながら、必ず自分自身の生い立ちを含めて振り返りながら、自己の立場と位置付けに応用させる。内容としては、差別に「中立」は存在するか?「平等」とEquityとの違い、人種的アイデンティティ発達理論でマジョリティとマイノリティの違い、などを取り上げる。また、多様なアイデンティティの持つゲストスピーカーに来てもらい、どのように自分自身の特権について考え、向き合ってきたか、そして、マイノリティの場合、どのように特権がなかったか、また特権の持つ人と接する上でどのような要望があるか、など生の声を聞く機会を与える。ビデオやドキュメンタリー映画の上映によって特権に関するディスカッションを行う。

到達目標

特権集団のカテゴリーには、人種・エスニシティ、ジェンダー、セクシュアルオリエンテーション(性的指向)、社会階級、学歴、年齢、などがあり、その各カテゴリーに属する人々の特権について学び、学生自身が自分自身との振り返りを行いながら、本人の気づきや学びを促すのが目的。

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