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活動著作権について

権利処理という仕事について3

株式会社テイクオーバル
AIPE認定 知的財産アナリスト 我妻 潤子

 これまでの2つの記事「権利処理という仕事について」で、著作権の役割/大学と著作権/許諾をとる、という3点について説明しました。今回は「許諾を取らなくてもよいケース」について解説したいと思います。

3-1.クリエイティブ・コモンズ・ライセンス

 CCライセンスとはインターネット時代のための新しい著作権ルールで、作品を公開する作者が「この条件を守れば私の作品を自由に使って構いません」という意思表示をするためのツールです。

 下の図のように4つのマークを組み合わせて6種類の意思表示ができます。本稿では、利用者側としての立場で述べていますが、先生方がご自身で教材を作られ、インターネットなどで公開する時にこれらのマークを付与すると利用者にとって使い易いものとなります。

クリエイティブコモンズ
https://creativecommons.jp/

3-1-1.Europeana

 何千ものヨーロッパのアーカイブ・図書館・美術館と協力して、教育や研究のために文化遺産を共有することを目的としたサイトです。書籍・音楽・美術作品など、5000万点を超えるものがデジタル化されています。そのデジタル化された作品1つ1つにクリエイティブ・コモンズ・ライセンスが付与されているので、利用したい際はマークに従って利用することができます。

 マークの中にはクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの他に「PD」というマークが付与された作品もあります。これは、「パブリックドメイン」といって、保護期間の切れたものなどを指します。このマークがついている場合は、クレジット表記などの必要もなく、さらには常識的な範疇のなかで改変をし、商用に利用しても権利者の許諾は不要です。

3-1-2.国立国会図書館デジタルコレクション

 日本の中にも国内の資料をデジタル化し、公開しているサイトがあります。「国立国会図書館デジタルコレクション」です。現在269万点の資料がデジタル化され、53万点の資料がインターネット公開されています。これら53万点の資料は「国立国会図書館デジタルコレクション」とのクレジット表記をすれば利用することができます。

3-2.「著作権フリー」という言葉

 「著作権フリー」という言葉をインターネット上でよく見かけます。しかし、「著作権フリー=著作権放棄」ではありませんので注意が必要です。大抵そのようなページには「利用規約」に値することが記載されており、その条件の範囲内であれば使用できるという制約が課せられています。有名な「いらすとや」でも「ご利用について」という欄があり、イラストの使い方や使用点数の限度などが記載されています。

 「著作権フリー」サイトは使い方を誤ると訴訟に発展するというケースも過去にあります。くれぐれも利用規約をよく読んでください。

3-3.さいごに

 著作権は権利と利用のバランスを図るものであり、文化の発展に寄与しようというものです。重要なことは「バランス」です。一言、声をかけ、利用することができるのであれば、まずはそこから始めてみるとよいのではないでしょうか。