• FD委員会概要
  • 活動
  • 教育活動支援情報

ニュース 各部門の活動 2021年度

機械翻訳が進展すれば、外国語学習はいらなくなる?

主  催:
外国語学部
講  師:
木村 護郎クリストフ 教授(外国語学部ドイツ語学科)
日  時:
2021年4月20日
実施方法:
オンライン
参加者数:
32名

概要

第1回ランチタイムフリートークとして、講師からテーマに関する講演が行われた後、参加者間でのフリートークが実施された。講演概要は以下の通り。

「英語普遍化シナリオ」と「機械翻訳普遍化シナリオ」

 ヴァン・パレースは、英語が広まることで世界の言語問題は解消されるという「英語普遍化シナリオ」を主張した。しかし反対にオストラは、ナショナリズムや地域主義の興隆によって人々はますます機械翻訳を選択するようになり英語の国際共通語としての必要性は無くなっていくという「機械翻訳普遍化シナリオ」を主張している。ヴァン・パレースの「英語普遍化シナリオ」に対して発表者はこれまで著書のなかで「節英」(節度をもって英語(言語)を使うこと)のすすめを提唱してきたが、今回の講演はもう一方の「機械翻訳普遍化シナリオ」に対する発表者の現時点での考えを紹介するものである。

機械翻訳にどこまで頼ることができるか(機械翻訳の現状、EUを例に)

 現在EUでは「多言語主義」の保護・推進という名目のもと、e-Translationという機械翻訳システムが用いられている。ただし、この翻訳システムは正式文章に対しては有効ではなく、あくまでも概要把握のための補助ツールとして利用されているに留まる。その背景には、地域の社会や文化に合わせた創造的な翻訳を行うことに機械翻訳ではまだ限界があること、また非言語的要素や話し手の文化的背景を踏まえる必要のある会議通訳では機械による同時通訳は非現実的であること、などの事情がある。したがって、今のところ口頭コミュニケーションの場面では機械翻訳は人間の通訳者に完全にとってかわるまでには至っていないが、一方で決まった表現が多く用いられる観光や商用などの場面では、今後、機械翻訳の利便性がますます向上し、広く普及していくことが予想される。

機械翻訳と異言語学習

 機械翻訳は内容のおおまかな理解・把握にはきわめて有効である反面、訳を変換することで失われる側面があることもまた確実である。こうした側面は実際に異言語を学ばなければわからないものであり、言語の違いが存在する限り異言語を学ぶことの必要性も失われない。異言語を学ぶ中核的な意義は、新しい表現の可能性を知ること、違った見方を学びそれを自分に内面化すること、相手の言語を使って人間関係を作ること、といった側面にあると考えられる。機械翻訳の進展は、周縁的なことに時間を費やすことなく、そうしたより本質的なことに傾注できることを助けるという点で、異言語学習・教育にとって好ましいと見なすことができるのではないか。

授業への示唆

 本発表の冒頭で述べた「節英」と同じように、機械翻訳を排除も過信もしないで異言語教育のなかにうまく取り入れていくにはどうしたらよいか?

NEWS

  • FD委員会の活動
  • 全学FDセミナー(Start-up Sophia)
  • 動画アーカイブ
  • 教務事務の手引き TAハンドブック等
  • 授業アンケート
  • Good Practice