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ニュース 各部門の活動 2021年度

第二次大戦後の占領生活空間における遭遇

主  催:
外国語学部
講  師:
小塩 和人 教授(外国語学部英語学科)
日  時:
2021年11月30日
実施方法:
オンライン
参加者数:
20名

概要

第5回ランチタイムフリートークとして、講師からテーマに関する講演が行われた後、参加者間でのフリートークが実施された。講演概要は以下の通り。

これまでの占領研究は公的領域(public sphere)における政策論争、例えば憲法・農地改革・検閲などが考察の中心だったが、近年では売春婦や闇市といった私的領域(private sphere)、庶民の生活空間における占領者と被占領者の遭遇・交流についての研究が盛んである。そうした庶民の生活空間のなかでも発表者がとりわけ注目するのが米軍住宅である。戦後間もない頃の米軍住宅の建設ラッシュ、家具や調度品の大量需要は、戦後日本の経済・生活様式に大きな影響を与えている。本日の講演は、戦後日本の新たな生活基盤を形づくったとも言える米軍住宅という私的領域において、アメリカ人家族と日本人のメイドがどのように遭遇・交流したのか、またそれはどのような意味をもっていたのかを、労働組合と厠という二つの視点から紹介するものである。

労働組合について

戦後、米軍住宅では多くの日本人メイドが住み込みで働いていたが、彼女たちは労働組合を組織して労働条件の改善を訴えていた。メイドの労働条件をめぐる興味深い点として、メイドの社会的地位の変化が挙げられる。占領中、メイドは日本政府に雇われた国家公務員であったが、サンフランシスコ講話条約後に日本が独立すると一般の労働者となり、法的な保護がなくなってしまった。その結果、米軍住宅で働くメイドの労働時間が長くなるという問題が発生した。

厠について

進駐軍住宅の厠はアメリカ人家族用と日本人メイド用に分かれていた。この点については、アメリカから輸入された人種差別であるという指摘がある。つまり、メイドと厠を共有したくないというのはアメリカにおける黒人差別と構造は同じであり、これが戦後日本にも輸入されたという解釈である。だがこれに対し、戦前の日本の上層階級の住宅では女中部屋の隣に女中用厠が設置されており、こうした戦前住宅の名残が戦後の米軍住宅に取り入れられたとする解釈もあり、この点は今後論争になる可能性がある。

 このように米軍住宅という庶民の生活空間における具体的事象を手がかりとすることによって、日本の戦後は戦前と繋がっていたのかどうか、また占領アメリカ人家族と被占領日本人メイドとの交流がどのようなものであったのかが垣間見えてくる。

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