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ニュース 各部門の活動 2021年度

『状況』から出発するアプローチ-新しい日本語教育の可能性-

主  催:
言語教育研究センター
講  師:
小林 ミナ 氏(早稲田大学大学院日本語教育研究科 教授)
日  時:
2022年2月26日
実施方法:
オンライン
参加者数:
202名(うち、専任教員9名)

概要

講師は、これまでの自身の経歴や経験、そして、その中で感じてきた疑問について、外国語教育にコミュニカティブアプローチというコミュニケーション重視の教授法が入ってきて以来、多用されるようになったロールプレイに対してずっと違和感を感じてきた、と紹介した。ロールプレイとはロールカードで学習者に役割が与えられ、それを演じる活動だが、学習者にはロールカードの場面設定や指示について、自分がロールカードに書かれている状況に陥ることはあり得ないと反発された経験が度々あった。ロールカードには、未来の行動についての指示が書かれているが、過去のその人物の状況を学習者が想像するというひと手間が必要で、そこに学習者にとっての現実世界との乖離が生じているということだった。

このような経験を出発点に日本語の授業の試行錯誤を重ねる中で、日本語の文型中心のシラバスで対立を示すものとしてペアで紹介されている文型が、状況によってその組み合わせが異なってくることも指摘された。例えば、初級の教科書では、助言を求められた際に使う文型として「~た方がいい/~ない方がいい」をペアで機械的に教えるが、状況によって「~た方がいい/~なくてもいい」など他の組み合わせで考える方が適切な場合があるというような例をいくつか示された。

講師は、講演のまとめとして、従来の「言語」から出発するアプローチには理論と実践において問題があり、「状況」から始まるアプローチが必要であることを提案された。そして、そのためには、今までのように教師が文法書を勉強して学習者に伝えるような静的な文法教育能力では不十分で、学習者の頭の中で起きていることを推測する洞察力や、自らの文法知識や言語分析力を駆使する瞬発力、さらに学習者に伝えられる説明力といった、動的な文法教育能力が必要であることを力説された。既存の文法シラバス、定型の文型の組み合わせに慣れ親しんでいる日本語教師には、とても考えさせられる講演会となった。

リンク:http://www.sophia-cler.jp/updates/20220302_01.html

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